魔王に捧げる物語
戸惑う彼女に彼はスッとどこかを示す。


指の先に目を向けると、


金の繊細な装飾の施された大きな、とても大きな鏡が置かれていた。


鏡は二人を映して不気味に煌めく、




「この先にいらっしゃいます」




あの方が、


「姫君、この先はお一人でお行きください」



幼さを欠片も残さない視線がミラを射た。


度々口にされる“あの方”


少し怖くなった。


まるで嵐の中心に向かうようで、



でも、きっと逃げることは叶わない。




それなら…、




聞いても聞かなくても同じ、だよね………?


“あの方”の事を。


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