魔王に捧げる物語
もっと恐ろしくて、不気味な姿だと思っていた魔王。

人のような姿をしているなどときっと誰も想像しないのだろう………。


ミラはそう考えながら言う、



「ニルが………魔王??」


「そうだよ、俺が魔王。怖い………?」




「すこし……」




実際、彼の凄絶な美と、その背で意志を持っているように動く傷んだ翼に腰が抜けていた。



彼女の言葉にとくに反応も見せずに、静かな瞳が見つめてくる。



「何もしない、だから………そう緊張しなくていい。聞きたい事があるのだろう?


答えられる事なら、何でも教えてあげる。



時間は、いくらでもあるから」




ニルが片足を立てて、楽そうな体制をとると同時に、身体を包んでいた羽が身体と同化するように消失して人らしい姿になった。


ミラがぽかんとしていると、

身体の一部だから。



と、優しく教えてくれた。


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