魔王に捧げる物語



聞きたい事がたくさんあった。


でも、いざ、となるとどこから聞けばいいのか迷ってしまう。



一番聞きたかったこと、それは…………、



「印……、ここにある印はとれるの……?」



ピクリと彼の片眉が上がる、

感情の感じない瞳からは何も伝わらないが、少しだけ怖かった。


それから僅かに、目を細めて彼が答えた。





「とれない」





思った以上に短く、簡潔な言葉があっさりとミラの希望をぶち壊した。



「魔王は、なんでもできるって聞いたのに…………」


沈む気持ちを隠しきれずに呟くと、







「なんでも出来るわけではないよ。死者を蘇らせたり、生き物を作ったり、時を操る事は出来ない」


という………微妙な答えが帰ってきた。



とれるだろうと、期待していた分ショックも大きい。
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