魔王に捧げる物語
理不尽だったのは認める。
でも、自分を恐れず、近づいて来た無垢な少女が欲しくて仕方なかった………。
寂しそうな顔が、嬉しそうな顔が、今まで感じた事のない気持ちにさせたから。
ミラが憤ったと思ったら、怯えるような顔で見つめていた。
フッと少し視線を緩めるとほっとしたような顔をする、
小さな変化だから気付くほどではないだろう………。
「印はとれない。でも、ミラが望むものを与える事は出来るよ、
………俺の側にいる限りは。
逃げたいなら、逃げればいい。出来たならね………」
後悔するだろうけど。
彼女の大きな瞳に涙が溜まったのを見て、複雑な気分になった。