魔王に捧げる物語
耳に心地よい低音な声が気だるげに少女に向けられ、彼女は一瞬まごついた。
「あっ、…えと…」
男は器用に片眉を持ち上げて続きを促す。
「今作って…いたの」
「そうか、おいで……かえしてあげる」
繊細な指先がくいくいと自分に向けて動いたが、少女は少し考えたようにして首をふった。
「ううん、あなたにあげるわ!」
予想外すぎる答えに沈黙すると少女は続けた。
「具合が悪そうだもの」
は??
内心驚く青年にしずしずと近づいてくる少女。