魔王に捧げる物語
「欲しいものなんてないっ。こんなの、………こんなの、今までと変わらないっ」
「気の持ちようだろう?ミラがそう思うからそうなだけ。ミラの意志でいるというなら、違う」
「……………」
「監禁したいわけではない、行きたい所があれば連れて行ってあげるよ」
スッと伸びた手が彼女の頭を優しく撫でたせいで、言いたい事があったのに飲み込んでしまった。
彼が嫌いなわけではない、
ただ、これから先もずっと自由が奪われるのかと思い込んで、憤ってしまったが、行きたい所に連れて行ってくれるのなら…………、
少し魅力を感じる……。
チラリと彼を伺うと、また優しく撫でてくれて、
結局ミラが折れる事になった。