魔王に捧げる物語
とても、とても綺麗な人だ。

流れる真っ直ぐな水色の髪は、絡まる事を知らないようにサラサラしていて、


やや吊っている同色の目も知的な雰囲気を出し、スッと整った鼻、 しっとりと潤った唇が描く曲線。



見とれてしまう程の美人。

そんな人に堂々と命令するニルは、なんだか怖かった。




「ああ、忘れていた。お前の名は?」


「スーディアでございます、魔王様」


「そうか……では任せた」



はい。


と短く返事があったのを確認すると、一瞬の内にニルは消えてしまった。




どうすればいいの………。



困り果てながら立ち尽くしていると、スーディアがミラの足元に膝をつき、


「スーディアでございます、姫様」


と、丁寧過ぎる挨拶をされてしまった。


緊張でかちこちになった彼女だが、頑張って言ってみる。


「ミラ……です、



よろしく、お願い……します。



スーディアさん」

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