魔王に捧げる物語
たどたどしく言ったミラにスーディアが優しく微笑んで言う。


「姫様、呼び捨てて下さって構いません」



姫、じゃなくて………。



自分よりは少し年上といった外見だが、あまり人と話した事の無かった彼女。


距離を置かれるのではなく、もっと近くなりたくて、


「あの………、姫様とかじゃなくて、ミラって……呼んでくれますか?」



と言うと、スーディアは驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になった。



「嬉しいです………。
名を呼ばせて頂くなんて、ではミラ様とお呼びしますね。
私の事は“スー”と呼んで下さい」



様、なんていらないのに……。



「様も……いらないです」

「それはご容赦を願います」


シュンと肩を下げると、ふふっとスーが笑っている。


「ミラ様?私は魔王様と貴方の臣下。ですが、魔王様のいらっしゃらない時はたくさんお話ししましょう?」



ミラはパッと顔を輝かせた。


「本当……っ?」



「ええ、私でよければ」




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