魔王に捧げる物語
「もうお休み、」
「……うん」
本当は眠るどころじゃなかった。
でもやんわりとした命令にに逆らえそうにはない。
頷いたミラにニルがそっと布団をかけて立ち上がる、
「目を閉じて、」
「……?」
言われた通りにすると目元に手が添えられた。
布の心地よい冷たさに少し落ち着く。
触れているのに体温の暖さを感じず、少し寂しく思った。
「おやすみ」
まだ聞きたいことがあった。
彼は眠らないのか、
眠るのか、
どこで?
そういえば、どこへ行っていたのか、
何をしていたのか………。
さっきまでなかった睡魔に急に襲われてそれ以上は考えられなくなった。