魔王に捧げる物語



微妙な空気の朝食を終え、着替えなども済ませて部屋に戻ると、


ニルが近付いてきた。




「カルナバルに行くけどミラも行く?」


聞く限りは地名か何かだと思うが、外の事を全くと言っていいほどわからない彼女は首を傾げた。


「西の大陸の首都、大きな国」


「人がたくさんいるところ?」


「そう。俺は用があるけど、イシュに護衛をさせるから不安はないよ」



不安ではなくて好奇心だったが、考えるようにしていたミラが不安を感じているのかと思ったらしいニルが優しく言った。


雰囲気がだるそうでなかったらもっと良かった。


「いきたい」


「いいよ、おいで」

近寄ったミラの髪に軽く指を絡めると、一瞬でクルりとした巻き毛にセットされていた。



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