魔王に捧げる物語
Ⅰ
いつものように目が覚めて、薄暗い部屋の中を見渡して軽く伸びる。
病人のような白く細い手足に、伸び放題の髪。
今更驚きもしない。
広くはない部屋の中には簡素な寝台とニスのはがれかけた椅子が一つずつ。
昼でも薄暗いのは窓がない為で、代わりにか床から天井まである5㎝くらいの縦の隙間。
そこから僅かに光が入るおかけで、足元に困る事はない。
少女はゆっくりと立ち上がって光が差す隙間のすぐそばに移動した。