魔王に捧げる物語
「イシュは……人じゃないんだよね?」
「はい、本性は異界にいる狗のようなものです」
狗のようなもの………?
ミラが首を傾げると、
う~ん、とイシュが考えて。
「厳密に言うと、我々は種ではなく個なので曖昧な表現になるのです」
「……難しいのね」
「そうかもしれません。ですが、あまり考えずともよいことですよ」
微笑んだイシュがふいに会話を止め、急にキョロキョロとした。
何かあるのかと思いミラも周囲を見るが、特に何かは見当たらない。そう思ってイシュを見た瞬間、
「飛びますっ!!」
と、ミラの手を掴んだ。
何の準備も出来ず、あっという間に視界が変わり室内になる。
荘厳な雰囲気のあるかなり広い空間。
空のような青地に白で染め抜かれた大きな幕には二本の槍に貫かれた竜の図柄。
高い天井を支える大きく太い柱が何本もあり、
真っ白な大理石の床は中心だけ同じ空色の絨毯が敷かれ道を作っている。
青い道の先には玉座があった。
「はい、本性は異界にいる狗のようなものです」
狗のようなもの………?
ミラが首を傾げると、
う~ん、とイシュが考えて。
「厳密に言うと、我々は種ではなく個なので曖昧な表現になるのです」
「……難しいのね」
「そうかもしれません。ですが、あまり考えずともよいことですよ」
微笑んだイシュがふいに会話を止め、急にキョロキョロとした。
何かあるのかと思いミラも周囲を見るが、特に何かは見当たらない。そう思ってイシュを見た瞬間、
「飛びますっ!!」
と、ミラの手を掴んだ。
何の準備も出来ず、あっという間に視界が変わり室内になる。
荘厳な雰囲気のあるかなり広い空間。
空のような青地に白で染め抜かれた大きな幕には二本の槍に貫かれた竜の図柄。
高い天井を支える大きく太い柱が何本もあり、
真っ白な大理石の床は中心だけ同じ空色の絨毯が敷かれ道を作っている。
青い道の先には玉座があった。