魔王に捧げる物語
蒼白になっている兵士達の奥から一人だけ、不遜に笑むエリュオン。
腰の鞘から剣を抜いて、ゆったりと歩き出した。
「来たな、化け物どもの大将………魔王」
「皇帝の愚かな息子、お前に化け物と呼ばれる筋合いはないよ」
「異形の身でありながら、人のふりをするものを化け物と呼ばずに何と?」
ずんずん進んで来たエリュオンが、スッとこちらに向けた瞬間。
いくつもある大きな窓ガラスの全てが、派手な音を立てて弾け飛び、
ふわりと体が地から離れた。
「加減をしてやるつもりではいたが、お前は魔王の所有物に刃を向けた………、
化け物らしく、始末してやろうか?」
普段は解放しない魔力を解き放つと、
空気がバチバチと雷気を帯び、細かな雷があちこちに落ちる。
真昼の陽射しが陰り、急に夜が訪れ、灯りのない室内をいくつもの雷が淡く照らした。
彼が片手でミラを抱き直し、もう片方で安心させるように優しく頭を撫でる。
「どうした?吠えてみよ、望む魔王は眼前にあるぞ」
腰の鞘から剣を抜いて、ゆったりと歩き出した。
「来たな、化け物どもの大将………魔王」
「皇帝の愚かな息子、お前に化け物と呼ばれる筋合いはないよ」
「異形の身でありながら、人のふりをするものを化け物と呼ばずに何と?」
ずんずん進んで来たエリュオンが、スッとこちらに向けた瞬間。
いくつもある大きな窓ガラスの全てが、派手な音を立てて弾け飛び、
ふわりと体が地から離れた。
「加減をしてやるつもりではいたが、お前は魔王の所有物に刃を向けた………、
化け物らしく、始末してやろうか?」
普段は解放しない魔力を解き放つと、
空気がバチバチと雷気を帯び、細かな雷があちこちに落ちる。
真昼の陽射しが陰り、急に夜が訪れ、灯りのない室内をいくつもの雷が淡く照らした。
彼が片手でミラを抱き直し、もう片方で安心させるように優しく頭を撫でる。
「どうした?吠えてみよ、望む魔王は眼前にあるぞ」