魔王に捧げる物語
かなり真剣な表情で詰め寄られたニルは、少し複雑だった。
言わなきゃ良かったかもしれない……。
ここまでいい食い付きっぷりだとは、予想外だったからだ。
「教えて、何かあったの?」
むしろピンピンしてるよ。
諦めるしかなさそうだと思い、怒るかもしれないと覚悟を決める。
「………あの小鳥、」
ミラが緊張した様子でニルを見つめる。
数秒がひどく長い。
「俺の分身なんだ……」
「………………………」
「ミラ……?」
硬直した彼女がハッとして、
「うそっ!!!」
と口元を覆う。
「嘘じゃないよ」
「だって……」
あんなに可愛らしい小鳥が………。
チラリと伺うニルは可愛らしいとは程遠い。
何より、同じものだと思いたくない……。