キミが刀を紅くした
言い訳をして許してもらえるならそうしたい所だが、世間も新撰組もそんなに甘くはないだろう。罪は罪として裁かれる。それが正義ではない限り――あぁ、正義。
そうか。
「沖田さん、あの時あなたはどうして島原に来ていたんですか?」
「吉原の旦那を探してたんです」
「なぜ?」
「夜帝を倒そうと約束していましたから。俺は紅椿の依頼で鬼神か夜帝を倒さなきゃいけなかった」
「なるほど」
あの時、現れた時点で刀を持っていたのは沖田さんと芥生流水を持った丑松殿。それから俺が一番にやられてしまって倒れ込んでしまって、丑松殿が夜帝を斬って。
俺の刀――芥生流水は消えた。なぜって夜帝が飛ばしたからだ。
そうしてとどめを刺したのは沖田さんの刀を持った丑松殿だ。おかしい。今のどこに彼が逮捕される要因があったと言うのだろう。
「沖田さん、丑松殿の罪は?」
「致死量の血が現場に落ちていたので、殺人ですかね。紅椿や色町の問題を隊士に全てを報告する訳にはいきませんでしたから詳しくはどうなるか分かりませんが」
「なぜ俺や沖田さんではなく、逮捕されるのは丑松殿なのですか」
「夜帝を一番恨んでいる可能性がある、とでも言いましょうか。それに吉原の旦那は自分がやったと自主してますから、余計ですよ」
「俺もやりましたよ」
「瀬川の兄さん?」
「沖田さんもやってる。とどめをさしたのは沖田さんの刀です。夜帝の傷の中に丑松殿の武器で傷ついたものはありません。よね?」
「まあ、そうですね」
自主をするなら全員すれば良いのだ。現場に居たわけでもあるまいし、誰が斬ったかなんて分かるはすがないし、犯人も尚更。
決まるわけがない。
「沖田さんが夜帝を斬ったなら罪には問われませんよね。あなたは誠を背負ってる。どうですか」
「そりゃ俺も考えましたよ。だけど俺には動機がない。動機がなければ誠の男だって捕まりますよ」
「動機ならありますよ」
「なんです?」
「紅椿」
俺は口角を上げた。