もっと、ずっと。
「もう変なごまかしはきかねえんだよ。
父さんもガンだった。
俺がまだ小さいころ、トイレの中で倒れてる父さんが病院に行ったとき「ガン」だと言われ、母さんは毎日看病してた。
でも・・・結局は父さんは3年もしないうちに死んだ!!」
<もういいのよ、純也>
「あとで取り残された遺族の気持ち。あんたみたいな医者に分かるか!!」
「分かります・・・。私の妹・・・事故で植物状態なんです」
「えっ?」
俺は目を見開いた。
「あなたと同じくらいです。私は妹が大好きだった。だけど、何を言っても返してくれない。表情もない。すっごく胸が押しつぶされそうでした。だけど私は信じてます。いつか妹が治ると」
そんなことが・・・。
「だから倉本くん。簡単に自分の命を捨てちゃだめです。一緒にがんばりましょう?」
「・・・はい」
俺はその日だけ家に帰った。
明後日から病院生活。
俺はけっしんをした。