もっと、ずっと。



純也・・・純也・・・。
何度も何度も、心の中で唱えた。
純也の家の前に立ったとき、ドキドキでいっぱいだった。



ピンポーン



とインターホンを鳴らすと中から背の高い女の人が現れた。
すごくきれいでどこか純也に似ている。
お母さんだろう・・・。



「あら、どなた?」

「あの私、倉本くんのクラスメイトの黒崎 茜です。倉本くんいますか?」

「ああ・・・。今はちょっといないの。電話ならつながると思うから電話してあげて?電話番号分かる?」

「はい」

「そう。じゃあ気をつけて」

「はい、ありがとうございました」



バタンッ



純也・・・いないのか・・・。
電話してみよう。
近くにある公園のベンチに座り、純也に電話する。



がちゃっ



「もしもし?」



純也の声。
なぜだか懐かしくてしゃべれなくなってしまった。




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