もっと、ずっと。
俺は梓に構わず、自分の病室へと戻った。
ちょうどその頃、担当の看護士が部屋にいた。
「峰岸さん・・・」
「ほら、倉本くん。診察始めるからベットに入って。梓ちゃん。自分の病室に戻りなさい!これから純也くんは診察なの」
「・・・はーい」
梓はふてくされて帰っていった。
「それでは始めるね」と峰岸さんは言う。
峰岸さんは俺の担当の看護士。
笑顔が可愛くてまだ23歳。
みんなに優しいので人気。
俺も好き。・・・いや、恋愛とかそういうのじゃないけど・・・。
「最近からだの調子はどう?」
「えっ?別に普通・・・」
「普通って・・・。本当に?吐き気とか体のだるさとかない・・・?」
「だからないって」
俺は目線をそらしながら言った。
本当は吐き気もだるさもあるけど・・・。
峰岸さんはそれを感じたのか
「嘘。ホントは違うでしょ?」
「・・・ちぇっ」
「ちぇっじゃない・・・。まったく・・・。正直に言わないと病気治らないよ?」
「どうせ治らないくせに・・・」
と言って峰岸さんをがん見した。
峰岸さんはため息をつくと足早に病室から出た。
「何かあったら言ってね」