もっと、ずっと。




【純也saide】



「純也くん、これからのことなんだけど・・・」

「・・・」

「やっぱり、これ以上は・・・その・・・」



そんなの分かってる。
俺は、もう止めることのできないところまできているって
ことぐらい。

この俺が一番知っていること。



「もう・・・家にも、どこにも行けないと思う・・・」

「・・・分かってる」

「何も・・・力になれなくて、ごめん」



先生は一生懸命、俺に謝って深く頭を下げた。
俺は、



「先生、いいから」



と言ってゆっくり先生の体を起こした。
俺は驚いた。
峰岸先生が・・・目からきれいな涙を流していた。



「病気を治すのが、医者の役目なのに・・・。ホントに、自分が情けない・・・」

「先生?」

「何?」

「・・・笑って」



小さな笑みを浮かべて先生を見た。

先生はゆっくり笑った。

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