もっと、ずっと。




【茜side】



「純也、ここに花瓶置いておくね」


「・・・」


「今日、空見えるかなー?」


「・・・」



もう、純也は言葉を交わさなくなった。
と、同時に誰が誰か判断できない状態になっていた。

あと、どのくらいなんだろう・・・。
純也が純也でいられるのは・・・。



ガラガラッ



「峰岸さん」

「あら、茜ちゃん。今日もお見舞いに来たの?」

「はい、やっぱり落ち着かなくて」

「そう」



私は廊下に出て、診察を待った。
壁に頭をつけて天上を見る。


「純也・・・。何を思ってるの・・・?」



そう言うと、自然に悲しみがこみ上げてきた。
ずっと、話しかけてなんの意味があるんだろう・・・。


もう、純也は・・・あたしが誰なのか・・・知らないかもしれない・・・。
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