もっと、ずっと。



ガラガラッ


「茜ちゃん・・・?」

「峰岸さん・・・」


診察が終わって、峰岸さんが病室から出てきた。
峰岸さんは通りすぎる直前。
まわりに聞こえない声で私の耳元にささやいた。



「倉本くんを・・・これからもよろしくね」



タッタッタッ



病室をのぞくと、純也は眠っていた。
安らかに目を閉じていた。



「純也・・・」



純也の手を握った。
純也は私の手を握り返した。
すると・・・。



「純也・・・泣いてるの・・・?」



目から大粒の涙が・・・。
そして・・・。



「茜・・・。行かないで・・・」

「純也??」

「行かないで・・・。茜・・・」



私は思い切り手を握った。
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