ラブシチュエーションアイツが弟?
グッと手首をつかまれた。

「痛っ!」

あまりに力が強くて、痛みが走り、ちょっと大げさに目をつぶってしまう。

そうしたら、透は案外アッサリ手を離してくれた。



「……悪い。痛かった?」

「うん……」

「どこらへんが一番痛い?」



今まで真正面に座っていた透は、立ち上がって真横までやってくる。

腰をかがめ、私の目線まで下りてきた。

手首をさすってくれてるけど、なんか……そこまでしてくれなくっても、いい。

透は私の手を見ていたんだけど、

目線を上げると、透の顔が間近にあって……その、横顔にまた見入ってしまう。



……うわー、すごく顔近いんだけど。

わかってやってるのかな、透……。







< 108 / 533 >

この作品をシェア

pagetop