ラブシチュエーションアイツが弟?
「だろ。邪魔だからさ、明梨……帰ってくれる?」

透がゆっくり起き上がる。

その瞳は、私をさっき見つめていたのとは違う、冷たいモノだった。

……どうしたの? 透……なんか、様子がヘン。



「えーっ。帰らないよ。

ていうか、今日お兄ちゃんの所泊まるってお母さんに行って来ちゃった」

「でも帰れ。ここはお前のウチじゃない……」



透?

明梨ちゃんから見えない所で、透は私の手をギュッと握っていた。

「えー、でもお兄ちゃん。

……明梨に、そんな風に命令しないでよ」

今度は明梨ちゃんの表情が少し変わった。



なんなの、この兄妹。

ちょっと異様な雰囲気……。

神妙な面持ちのふたりを、お気楽な私はヌケた顔で見比べていた。

……チャーハン、食べようよ。



< 345 / 533 >

この作品をシェア

pagetop