ラブシチュエーションアイツが弟?
「ウフフッ」

ギク。

うしろでそんな笑い声が聞こえた。

この声は……明梨ちゃん?



「やっぱりホントに付き合ってるんだ? ふ~ん。よかったね、お兄ちゃん」

明梨ちゃんの声がするけど、透は私を離してくれない。

『よかったね』っていうときの明梨ちゃんの声のトーンが、なんだか怖い。



「わかっただろ。だったらもう……いいだろ。

明梨は小堀の部屋……となりの部屋で寝ていーから。さっさと寝ろよ」

なにが、『もういい』んだろう。

「そーだね。じゃ、お休みなさぁい。お姉ちゃん……私、先に寝るね」

透にしっかり抱きしめられているから、明梨ちゃんの表情は見えないまま。

そして、部屋の扉を静かにパタンと閉める音がした。



その音と共に、透は私から腕を外した。

「……ごめん」

「えっ? ごめんってなに?」

「……オレ、明梨が怖いんだ」

怖い?





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