ラブシチュエーションアイツが弟?
そこには、明梨ちゃんの胸ぐらをつかむ透の姿が。

「ちょっと……透、なにやってるの!?」

さっきの話を聞いたとは言え、さすがに明梨ちゃんもオンナの子だし。

殴るとか、絶対ダメだから!



慌てて間に入ると、透はすんなり明梨ちゃんから手を離した。

「お……お姉ちゃん! お兄ちゃんがぁっ」

明梨ちゃんは目に涙をいっぱい溜めて、私に抱きついてきた。

「透? なんでこんなコトに……?」

「いい加減にしてくれよっ! オレにどうしろっつーんだよ」

私を見る透の目の色が、なんだかいつもと違うような、そんな気がした。

いつもはクールな透が、かなり取り乱している。



「私は……ただ、お兄ちゃんに話しかけようと思っただけで……」

明梨ちゃんはブルブルと小刻みに震えていた。

それはとても、演技には見えなくって。

さっきの透の話を聞いてなかったら、完全に透を叱ってる所だけど

……あの話を聞いたあとだから、そういうわけにもいかない。







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