ラブシチュエーションアイツが弟?
「うぅっ……」

明梨ちゃんは、私の身体に頭を預け、声を押し殺して泣き出してしまった。

背中をさするけど、私も正直どうしたらいいかわからない。

透もすごく不安なのかもしれない。

「透、明梨ちゃんが落ち着くまで……私の部屋にいるね」

取りあえず、明梨ちゃんを部屋に連れて行こう。



「明梨ちゃん……もう、大丈夫だからね。行こう」

私の部屋に連れて行き、明梨ちゃんをベッドに寝かせた。

タオルケットをかけてあげると、手で目をゴシゴシこすりながら

そのまま目をギュッと閉じてしまう。



……ふたりに、なにがあったんだろう。

透が一方的に明梨ちゃんを警戒してただけ?

「明梨ちゃん、大丈夫?」

「……お兄ちゃんとやっとふたりきりになれるって思って、ここについて来たのに……」


え。

明梨ちゃんの大きな目が、パチッと開いた。

真っ赤な目をさせ、薄笑いを浮かべている。

ゾクッ……。


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