ラブシチュエーションアイツが弟?
「でもね、みんなにからかわれても、お兄ちゃん、全然否定しなかったんだ……。ただ、黙ってるだけ。

だから、明梨……みんなにウソつきって言われた。お兄ちゃんにホントは嫌われてるくせに……とか。だから、明梨も苦しくって」

おさまっていたかと思っていたけど、

明梨ちゃんの目から大粒の涙がまたひとつ、こぼれた。



「明梨のせいなのに、結局最後は……かばってくれないお兄ちゃんのせいにした。

『いなくなればいいのに』って言ったら、ホントにいなくなっちゃった……。

そんなつもりじゃなかったの」


「明梨ちゃん……。透ももう、怒ってないよ。大丈夫だから……」

明梨ちゃんの頭を優しくなでると、タオルケットでその涙を拭いていた。

透は明梨ちゃんのコト、誤解してるんだよね。

さっきの言い方だと、まだ殺意持たれてるって思ってるよね。



「ホントは……ウチに戻って来て欲しいの。お母さんも私も、それを望んでて。

今日は連れ戻しに来たのに。目も合わせてくれない……」


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