ラブシチュエーションアイツが弟?
~透side~
小堀が自分の部屋に入ったのを確認したあと、
オレはそっと自分の部屋を出て、そのまま玄関を出た。
ポケットには財布とカギ。
このマンションに住み始めたとき、オートロックなのを忘れて、
さっきの小堀みたいに、一度だけ手ぶらで家を出たっけな。
あれは2年前……。
もうそんなに経ったのか。
小堀を残して、ひとりぶらりと歩いて行く。
ちょっと頭冷やそう。
あのまま小堀といたら、更に冷たくしてしまいそうだったから。
オレを信用してるとか言いながらも、必死で明梨の弁解をしようとしてきた小堀。
あいつが単純で、素直で信じやすいなんて
始めからわかってたコト。
オレの口からちゃんと話せば、小堀はまたオレの肩を持つようになるともわかってた。
でも……できなかったな。
口ベタだし、ウマく話せる自信がない。
なんでもすぐ顔に出て、思ったコトをすぐ口に出す小堀がうらやましい。
……そういうのも、オレがあいつを好きな所なんだけどな。