ラブシチュエーションアイツが弟？
「……って、ちょっと待てよ。なんでオレが小堀に冷たくしたって知ってんの？」

「だってよー。透、実家戻ってたんだろ？

透の機嫌が悪くなってるコトぐらい、オレにはお見通しよ。小堀に当たんなよな」

……大和、鋭いよな。

大雑把だし鈍感そうなのに、意外と周りに気がつくヤツで、オレがこっちに来たときも……そうだったっけ。

クラスの誰とも話そうとしないオレに、しつこく話しかけてきて、ムシしたって大和には全く通用しなくて。

結局、オレは包み隠さずコイツに全てを話した。

『絶対に誰にも言わないでくれ』って言う前に、

大和の方から『オレとお前だけの心のウチにおさめておこう。これからは、新しい自分になれ！』

って言ってくれた。

前の家で、学校で、辛かったオレの気持ちを初めて話せたダチ。

興味本位なんかじゃなく、真正面から向き合ってくれるヤツ。




昔からやたら人に見られる。

女子がオレをカッコイイって言うけど、他にカッコイイヤツなんていくらでもいる。

オレからしたら、なにやっても目立って、みんなの指揮を取れるようなヤツの方がよっぽどカッコイイ。

無愛想で、ムダに人と関わらないオレのどこがいいんだって逆に聞きたくなった。

『クールな所』と言われても、それは自分にとってマイナスイメージでしかなかった。


< 376 / 533 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop