ラブシチュエーションアイツが弟?
突然の訪問者
何度ノックしても返事がないから、思い切って透の部屋を開けた。
そしたら、中には誰もいなかった。
透は、いつもお財布やカギを同じ場所に置いてるんだけど、そこにはケータイだけが残されていた。
……ちょっと買い物にでも行ったのかな。
しばらく経っても帰ってくる様子ナシ。
私にイラっとして、家出した?
ひとりで待つ時間は長い。
――ピンポーン!
突然、家のチャイムが鳴った。
透かな? って思ってドアホンのカメラに映っていたのは、大和だった。
エントランスからウチの部屋番を押しただけで、まだマンションの中には入ってきていない。
透に会いに来た?
私は用事ないから追い返すかなー。
なんて思いながら、出た言葉は。
「なんか用?」
ぶっきらぼうにインターホンに向かって言う。
「用あるから来たんだろ? おい、開けろよ」
カメラの前の大和、苦笑いしてる。