ラブシチュエーションアイツが弟?
水沢と横並びになって、数学の宿題。

しばらくすると、母親がお菓子と飲み物を持って、2階のオレの部屋に上がってきた。

いつの間にか、パートから帰って来てたみたいで。

彼女を連れて来てもいいけど、“部屋の扉は閉めない”っていうのが、暗黙のルールになっていた。

だからこうやって母親が突然現れても、やましいコトしてるわけでもなく……ビクッとせずにすむ。




「水沢さんいらっしゃい。透がいつも迷惑かけてないかしら」

「とんでもないです~。私こそ、数学教えてもらってますから。透くん、数学のテストいつもクラスで1番なんですよ」

「まぁ、ホントに? この子何も言わないから……」

母親と水沢はいつもこんな感じでしゃべっていた。

今日もいつも通り……かな。

「じゃ、ごゆっくり」

そう言って、母親は1階へと下りて行く。




1階で物音がするのを確認すると、水沢がクスクス笑い出す。

「ね、透のお母さんってさ~、心配なんだよね。いつも上がってくるよね」

「どーだろな。ま、部屋のドア開いてるし……」

「開いてたって、キスできるのにね。ねぇ、透……キスして」



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