ラブシチュエーションアイツが弟?
透は意外にも、素直に瞼を閉じた。


「やめろよ」とか言われれるかと思ったけどね。違ったね。


「見たくない時は見なくていいよ。だけど……、いつかは向き合わなきゃいけないから。

教室に着いたら……目開けてね」


透は黙って、頷いた。


さっそく手をゆっくりと引く。


透の手は大きくて、あったかくて。


普通に手を繋いだらドキドキするはずなのに、目を閉じて私に従ってくれる透を見ると、自分の中に、不思議と安心感が芽生えた。


「夏休みだけど、部活あるし先生はいるよね。会ってく?」


そしたら、透はプルプルと首を横に振る。


そっか。嫌だよね……。


けど、先生は喜んでくれるかも。透と会えて、今こうして元気でやってますっていう姿を、見せてあげたい気もするな。


その後の話とか、聞かせてもらえるかもしれないし。


よし。私の自己判断で、あとで職員室に連れて行ってみよう。それか、先生がいそうな所……。



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