ラブシチュエーションアイツが弟?
「透って……おもしろい」


「え?」


透は閉じてた目を、パチっと開けた。


そして、顔を歪ませる。


「うわ……もう、こんな進んでたんだ」


透を引っぱり、グラウンドまでやって来た。


校舎はまた後でいーかなって思ってね。


ちょうどお昼の時間だから、グランドは空っぽ。


うちの中学だと、お昼はみんないったん家に帰るんだよね。


で、また14時前から午後の練習。


この学校も同じなのかなー。


「懐かしい?」


「まーな。誰もいないグラウンドに来るコトなかったからさ。懐かしいっつーより、新鮮……。人がいないと、こんなすっきりしてんだ」


透は目を細め、グラウンドのそのずっと先を、じっと見つめていた。


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