ラブシチュエーションアイツが弟?
「ねっ!グラウンドの中に入ってみる?」


「は?」


私は透から手を離して、バッ!と勢い良くグラウンドに向かって駆けた。


砂ぼこりが上がり、なんだか懐かしい感覚に襲われる。


知らない中学だけど、高校に入るとグラウンドでやる体育って少なくなるから、こうやって走るのって久しぶりだな。


グラウンドには、バレーのネットがはったまま残っていた。午後からすぐ試合なのかなーとか、色々考えちゃう。


「バレーしよ~よ!」


球技、うまくはないけど、やるのは好き!


しかも今日は二人だから、下手でもいーのだ!


カゴの中に入ったままのボールを手に取り、ポンと上に弾いた。


「小堀、元気だよなー」


「うん!元気しか取り柄ないもん。私の元気、透に全部あげるよ……だから、もっと楽しそうにしてよ……ね」


透の浮かない顔が、ずっと気になる。


ここまで来てくれてはいるけど、内心ウツウツとされてたら……逆効果だよね。



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