ラブシチュエーションアイツが弟?
けど、透の反応は意外と冷たくて。感動した様子もなく、冷めた表情で栗田くんに話しかける。


「そんなんで陸上部に?」


「そーですよ。ま、オレらは大歓迎でしたけどね!

美人だし、明るいし、何より家での大倉先輩の話をたくさんしてくれましたから。

普段クールだけど家では優しいお兄ちゃんだったとか、しっかりしてて頼り甲斐があるとか。

陸上部も、イケメンが抜けて女子のモチベーション確実に下がってましたけど、

明梨先輩の話で、みんな大倉先輩のこと思い出して、よく笑ってました」


栗田くんはそのときの話を思い出したのか、ププッと吹き出した。


「けど、驚いたのは。大倉先輩と、明梨先輩って……」


うわ、言うな!


思わず、栗田くんの前にたちふさがってしまう。


「あの!栗田くんっ、そのへんにしとこうか……。私たち、今日忙しいから」


私がそう言うと、透に腕を引かれた。


「小堀、いいよ。オレ、聞く。ずっと気になってたし……。

オレがいなくなってから、どういう風に言われてたのかって……」



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