ラブシチュエーションアイツが弟?
黙ったまま、首を横に振った。


「なんでさー、オレにこんな風にされても……そんなフツーなワケ?」


透は他のひとには聞こえないぐらいの小さな声で


そう言って、不機嫌そうな顔を私に向ける。


イヤイヤ、全然フツーじゃないけどっ!


心臓バクバク言ってるし、ただ、動けないダケでぇ。


むしろ、フツー過ぎるのは、透の方……。


「あ~、おもしろくないな」


透はそう言うと、私をすんなり離してくれた。


やっと逃げれる!


そう、思ったら。


さっきのテスト前のときみたく、透は私の耳に顔を寄せてくる。


うわ。


ゾゾゾと寒気がっ!
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