¥時給1000万円
「…櫻井がんばれ…!!………わははははっ!!」
あっという間に金髪の男は櫻井という奴に逆転された。
「……ってめぇ………!………う゛っ…!」
さらにフックがかかる。

トイレから帰ってきた大島もその光景を見て立ち止まった。

永井は止めることもできず、ただ遠目で勝敗の結末が早くつくよう祈ることで精一杯だった。


「……ゴフッ…!」
痛々しい音が耳をつんざく…。格闘ゲームとは比べものにならない程のリアルな音だった。
金髪の男の頬は赤く腫れた部分と青なじみになっている部分とがハッキリ見分けがついた。更に新たな血が出はじめる…。



「お疲れ様。」
永井の肩をポンと叩いて通過していった。
二葉もこればかりはどうしようもないという様子だった。



そして…そろそろ決着がつくかというところに…突如寝室の扉が開く……





オーナーだ……



永井だけがオーナーに気づいていた。

腕を組んでその様子を見守り、何かを言うタイミングを待っている。


そして……

パンッパンッという大きな手の音に次々とオーナーの存在に気づきはじめた。
「…はい!次殴った方が無条件で『クビ』ねぇ~…!」

その言葉に二人の拳がピタリと止まった…。
歓声も空気を呼んだかのような声に変わった…。

「……まったく!…美味しい食材が台無しになるでしょ…!?」
そう言うとオーナーは部屋を出てゆっくり戸を閉めた。
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