¥時給1000万円
まあいい…これで決着をつけようじゃねぇか……!
今日最後の通過者が読み上げられる…
「1位…!……………10票で………二葉…!!」
口笛交じりの歓声に包まれた。
「…もう定位置だな~…!」
「俺たちにも稼いだ金をくれよー…ハハハ!!」
「……やっぱ二葉には勝てねぇかー!」
比較的上位にいる佐田が二葉に言った。
二葉はクールに軽く皆に会釈する。
拍手がやみそうな頃にオーナーは結果発表を再開した。
「…続いて2位!!……9票で…………佐田…!!」
「…ウィーー!!」
強い拍手が鳴り響く…
「…8票で…渡部!…………7票…櫻井…!!……5票…松本!!……大島……!………………永井…!!」
次々と従業員の名前が呼ばれていった…
名前が呼ばれる度にまだ呼ばれていない灘の表情は険しくなっていった。もはや殺人鬼のような顔になっていた。
そして…残るは二人……
平居(ひらい)という名前の従業員と、またしても灘が残った。
「…くそっ!また俺かよ…!!」
激怒する灘をよそ目に初めて聞く『平居』という名前に永井は顔を覗き込んだ。
繋がれている従業員の中に明らかに今まで見たことのない男性が繋がれている。
平居には従業員のようなオーラーはなかった。
色白で、表情からしてやつれており、腰は異常なほどに曲がっていて、もはやこの男には心などがあるようには思えなかった。
よく今まで残ってこれたと思った。
「…あの平居っていう人は……?」
永井は隣で繋がれている横田に聞いた。
この施設へ来た時 永井に不敵な笑みを浮かべた奴だ。今でも鮮明にその顔を覚えている。横田は常に何かをたくらんでいるような表情をしていて、その顔を何秒か見ていると寒気が走った。