¥時給1000万円
指先に感じるひんやりとした用紙……
人差し指ものばしてそれが紙切れなのかどうか確認する…
永井にも箱を隔てていてもその状況が分かった。
そして人差し指にも同じ感触を味あわせたら その二本でいよいよ挟む……
大島が出した言葉は…
「…………ない…。」
二本の指が感じ取ったのは、双方の指の感触だった…
箱の隅々まで探るが、大島は永井を見て首を横に振る…
部屋中が失望の空気で満たされた…
「う…うそだぁアアアアアァ!!ウソだろォォオオオオオー!!!…おいっ!!ちゃんと箱の中は見たのか!?なあ!!底に何か仕掛けとかあるんじゃねえのか!!?」
平居が突然大声を出し ひどく取り乱す。
平居が騒いでいる間も大島と永井は、箱に仕掛けがなかったか調べる…
「…なあ!何かねぇのかよ!!!」
四方八方探ったがどこにも投票用紙どころか、怪しいところなどなかった。
「…ったくー…デマカセ言ってんじゃねぇよ…。」
「……本当にそんなものあったらこんな場所にいられなかったぜ…」
客がざわつき始めると…
「…ほ……ほら見ろ…!!な…何もなかったじゃないか…!!」
カウンターの男が永井たちに指を差して言った。
…くそっ!!なんで何も出てこない!!!