¥時給1000万円
「もう暗いからホントに気を付けるのよ!」
「…分かったよ。んじゃ…いってきまーす!」

母親の『気をつけて』が嬉しかった。なんだか安心して出かけられた………………






ここを入っていくのか…!?

15分経ち、着いたところは人の家らしきところの裏口だった。古びた木製の扉がある。空はまだ明るいのに辺りは木々が立ち並んでいて暗かった。
オーナーの話ではここを入っていくようなんだが…
塀に囲まれていて見るからに豪邸で耳を澄ますと接客らしき声も聞こえない。
ホントに入って大丈夫なのだろうか…?

別に悪いことをしているのではないはずなのだが一応周りを確認して重いドアノブを開いた…。

ギーッという音とともに辺りに埃や砂が舞う。…………
………………
………なんだこれ…!?

そこは周りからは全く想像がつかないようなトンネルだった。中は薄暗く所々にランプが灯され、先には下へと続く階段が見えた。


とりあえず中へ入り戸を閉めるとさらに気味悪い空間になった。


…なんなんださっきからするこの匂いは…?

錆の匂いだけじゃない、何か生々しい匂いが混じっている…

……臭い…。

急いで階段を降りていき、出来る限り息を吸わないように、ヌメヌメとした壁を触らないようにしながら進んで行った。
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