¥時給1000万円
昼過ぎに目が覚め、顔を洗いに行く。
昨日のことでまだ頭にひっかかっていた。
浅川が最後に指さした兵士…自分の下のベッドを使っていた従業員の手紙に書かれていた兵士…
恐らく同一人物だろう……
ここにきてますます分からなくなってきた…
「……永井……………おい、永井っ!!!」
「…えっ?」
「『え』じゃねえよ。大丈夫か…?」
大島が困った顔でこちらを見ている。
流しっぱなしにしていた水にようやく気づく。
「あ…あぁ…」
蛇口をひねって その流れを止めた。
「永井…!」
部屋に戻ろうとすると 大島が呼びかけた。
大島は今から顔を洗おうとしていた。
「…何があったんだ…?」
部屋に戻ると その手紙と、浅川が指差した兵士の話をした。
「確かにそう考えられるな…。あの兵士……ちょっと調べてみる必要がありそうだ。」
「うん…。どうする…?」
「……今日は俺 シフトを入れてないんだ…。」
「あ…そうなんだ…。」
「だからお前らの仕事が終わるのを待つ。そしてあの兵士たちの後を追ってくる…!」
「おい、そんなことして大丈夫かよ…!!」
あたりに声が聞こえていないか心配しながら話し合う。
「…大丈夫。そんなことしても何も怒られねぇだろ。」
一息おいて話す。
「…分かった…。ただ、あまり無茶すんなよ。」
「分かってる。」
「んじゃあ、そろそろ行ってくる。」
「おう!…がんばれよ!!」
「……あぁ。」
右手を軽く振って永井は部屋を出た。