¥時給1000万円
一瞬その匂いが最高潮になった場所があったが何分かトンネルを進んで行くといずれ無くなった…。
ようやく着いたところはまた先程のような扉があった。

いよいよだ…!

軽くノックをしたが………返事がない…。
もう一度してみた…

コンコン…

…………はぁぃ…永井ちゃんねぇ〜…入んなさい…

扉の向こうから微かにオーナーの声がした。


…なぜ俺だと分かったのだろうか…?

手をドアノブにかけ、ゆっくり引いた。

「…失礼します……。」トンネル内に自分の声とドアを引く音が何度も跳ね返って聞こえた。


まるでカウンター席が横に伸びたバーのようなところ…。人ひとり通るのがやっとというこんな狭いところで働くのだろうか…?
奥にはかなり太った男性がタバコを吸いながら前を向いていた。手元にはウィスキーとそれが注がれたグラスが置いてある。
この人がオーナーなのだろうか…?

「…早くドアを閉めなさい。」
男性がそのままの姿勢で話した。
「…あっ…はい…すいません…」
慌てて扉を閉めたためガチャンと大きな音が立ってしまった…。
「…すいません…。」
一応謝った。

「…ふふふっ…面白い子ねぇ…。」
タバコをふかしながら半笑いになりこちらをゆっくり向いてきた。

顔はたるめるところはたるんだ感じで、髪は真っ黒の坊っちゃん刈り、少しよどんだ目からはなんだか不気味な空気を放っていた。
唇は分厚くやはりたるんでおり、側には大きなおできができている。
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