¥時給1000万円

永井が『クビ』になるのが自分ではないかと自信ない気持ちを伝えた初日の第1部の時だった…

男はこう言った…





『……よほどのことがこの店に無ければ大丈夫だ!』





男の『よほどのこと』という言葉に引っかかった。



「……お前はこの一週間働いてみて…どんなことだと思ったんだ…?」




永井は自分の見解を述べてみる…
「……店にとって不利益となることがら全般だと…思いました…。」
「…………」
男が軽く頷く…

「…例えば、ここの職場は一週間前に退職届けを出す規則があります。だから店は一週間以内にその従業員を始末しないと、昨日の大島のように勝ち逃げされちゃって稼いだ金をそっくりそのまま巻き上げられてしまう…。脱出しようと試みた場合も同じです…。通帳や現金を下ろして持って行かれたらたまったもんじゃないから…。…あの話をしてくださったとき、俺はまだ退職できなかった…つまり…脱出でもしない限りまだ生かしておいても問題なかった…。だから俺はまだ死なないって言うことができたんだと思います…。」
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