¥時給1000万円
ありとあらゆる機会に節約して貯めてきたのに…。
美容室も1000円カットで済ましてきた…
もっとお金があればみんなみたいに幸せに暮らせるだろうに…
家族と共にアパートで貧しい暮らしをして、時給680円のコンビニで一生懸命働いている自分の惨めさと苦労を知らない恵まれた友人とを比較すると時々腹が立つ。
そしてまたつぶやく……
「…………お金欲しいなぁ…」
1日のうち何度も頭の中で『お金お金』とつぶやいた…
学校の帰りいつも以上に電車を待つ時間があったため、改札口を入った近くに設置されているラックからアルバイトの情報誌の『ジョブローシュアー』を取る。
やっぱりここら辺は田舎だからどこも安いなぁ…。
居酒屋とかボーリング場・ゲーセンなどのアミューズメントパークとかで働けば時給が高いのだが、まだ未成年でいずれも条件に当てはまらなかった。
少し遠いところでもやはり今のアルバイトと似たり寄ったりな場所ばかりだった。
「…まもなく1番線に普通列車……」
アナウンスに気付き、雑誌の間に指を挟めたままホームへと降りていった。