¥時給1000万円
「…はい…!」
…っとはいっても何もすることがなかった。携帯も持ってきてもいないし…


とりあえず頭の中で接客のシミュレーションを行った。
どんな言葉を使って接客しようか、もしもの事態にどう対処しようかなどいろいろ考えた…。




1時間が経った…

少し寝るか…

寝室のドアをそーっと開けた…。
「…失礼しまーす……」
入ると寝ている人もいたが、突然何人かと目が合った。
ベッドの上に座ってトランプをやっている人も話している人もこくりとお辞儀をすると軽くお辞儀を返してくれた。

部屋は二段ベットが奥までズラーッと並んでいる。
床は赤いじゅうたんが目立ち歩くときしむ音がして、この部屋もまた生臭かった…。

「……永井…くん…だよね…?」
突然手前から二つ目のベッドに座っていた男性が話しかけてきた。
「…はい…そうですが…。」
「…オーナーからは聞いてるよ!…ここで働くんだってね!……よろしく…!」
そう言うと不気味な笑みを残して元のベッドへ戻っていってしまった。名札には『松本』と書いてあった。
…いや…この人だけじゃない!今まで話していた人たちも…みんながなぜか顔を微笑ました…。
「…あの…」
近くにいる男性に近づいた。
< 52 / 392 >

この作品をシェア

pagetop