¥時給1000万円
永井のトレーニング担当の人は非常にクールな人だった。
あの後がっかりしてベッドに戻ると優しい表情で近づいてきてくれた。
「…申し遅れましたが、永井くんのトレーニングをさせていただくことになった二葉 孝義(ふたば たかよし)といいます。よろしく…!」
そう言うと二葉は手を差し出してきた。
「…あっ…はい。」
ワンテンポ遅れて握手を交わす。
「…まずさっき永井くんが一周してきたことから話そうか…。」
「……はい…。」
二葉はゆっくりと永井のベッドに腰かけた。
「…さっきも誰かが言ってたが、とにかくここから出るのは不可能だ。」
「…え!?」
「私もね、ここに来たときいろんな方法で脱出しようとしたんだ…。」
「…そ…それでどうなったんですか…!?」
二葉は首を横に振った。
「…どうやっても無理だったんだ…。君と同じようなことをした人間はたくさんいる。だが誰かが脱出しようとするのを認知すると外へ抜けるルートが変わるみたいなんだ…。」
「…でもどうやって…?」
「……分からない…。…ただ各部屋やルートの各所に監視カメラがついている。私は長い間ここで働いているから何度かオーナーの部屋とか携帯などの電子機器を見てきたが…すべてにおいて映像を見たり仕掛けを動かしたりできるようだ…。」