¥時給1000万円
「…………。」
永井はただその話を聞いてるしかなかった。
「…そしてそこの窓から、あと更衣室の窓からも逃げようとしたんだけど……」
「…俺が見る限り木で囲まれてるようでしたよ…」
「……そこなんだ…。」
「…えっ?」
「…あの木は毒をもっていて少しでも血液に入れば即死亡さ…。」
「……じゃあ来たときにあった木も…?」
「…あれは大丈夫さ。」
「…どういう…ことですか…?」
「君はここに来る間かなり長いトンネルを通ってきただろ?」
「…はい…。」
「…きっと気付かなかっただろうが…実はな、あの通路は緩やかな傾斜になっていて来る間に非常に深いところまでに達しているんだ…!」
「……なんだって!?」
急いで窓を開けて外を確認した。
「…うわぁ!!」
勢いよく開けたため体が窓から落ちそうになった。
「…大丈夫か…!?」
「…はい…なんとか…。」
そして全体を見て唖然とした。
「……まるで別世界ですね…」

10メートルほど下には非常に広い草原があった。それを取り囲むようにその有毒な木々が立ち並び、オーナーの家や道路などの裏側が上空に見えた。所々から光が射し込み、幻想的な空間を作り出していた。
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