ぎゃくこい!
「私が月を見ていると突然、窓に小石があたって音をたてたのです」
(……ロミオとジュリエットみたい)
「いつもなら気にも留めないのにその時は不思議とベランダに出ていたのです………
すると下には人影が見えて、何かをベランダに投げいれてきたのです。
侵入者かと思ったので、恐る恐る見てみると
…花だったのです。」
うっとり
『…………………………』
サラサはとろけた顔をしていた
「城の者に聞いてみた所マーガレットの花だそうなのですが」
うっとり
サラサの様子を見ているとサラサは本当にその男を想っている事がわかった。
『……しかし、花など金持ちしか買えないのでは?』
「えぇ、この町でお金持ちの方は数人ですし…………お父様にたのんで町中を探していただいたのですが………」
『いないと?しかし、暗闇で顔はわからなかったのでは?』
「ええ、お顔はまったく……でも……」
『でも??』
「香りが……ムスクの香りがしたのです」
『…香り、ねぇ……会ったのは一回だけ?』
「いいえ、不定期に何度か……」
『毎回、花を贈られたのかな??』
「はい、あっ……だけどマーガレットは最初の一回だけで…それからはローダンセと言う花が………」
(………なぜ、そんなマイナーな花が?普通バラとかを贈るもんじゃないのか?)
『一番、最近にその男が来たのは??』
「6日前くらいかしら…ちょうど、レデム様からの書状が来た頃………」
そう言うとサラサは顔に影を落とした
サラサがふと顔をあげた
「そう言えば…ずっとローダンセだったのにその日は菊と言う花でした!ほら、そこに……」
サラサの指差した方を見ると、そこには小ぶりな菊が一輪だけ花瓶にさしてあった
(…………菊か)