涙の雨
新しい年
新しい年の幕開け
正月のテレビ番組はみんな特番ばかり
毎年年始は家で過ごすのが
当たり前の我が家
福島の田舎にはあまり行かないし
これといって年末年始をどこかで過ごす訳でもない
正夢なんか
一度も見た事無いかも
元旦の日、いつも通り起きるとリビングに父親がいた
「明けましておめでとう、遼太」
「明けまして…おめでとう」
久しぶりに見た父親
年末も仕事で忙しかったらしく
父親と会うのはホント、何週間ぶりだった
「お父さんと会うの、久しぶりだね」
「―そうだな、最近は学会やら夜勤やらで遼太には会えなかったな」
父親はそう言うと、煙草に火をつけた
―尚輝さんと…同じ煙草だ
今まで全く気に止めなかったのに
テーブルの上にあるセブンスターを見たら、自然と望月を思い出してしまった
「遼太、お年玉だ」
ソファーに座る父親が
その場に立つ俺にスッと腕を伸ばし、何かを差し出した
一万円
「どうした、もっと欲しいのか?」
紙幣をジッと見つめる俺に
父親は平然と言った