涙の雨
その日の昼
意外な人から電話がかかってきた
「―先輩!?」
『よぉ!元気してっか?』
その人物は山田だった
何で俺の番号を知っているのかと聞くと
尚輝に教えてもらったと言った
『遼太が元気ねぇんだって言ったら、そうかの一言だけだせ?冷てぇよな~』
望月の事はなるべく思い出さないように
パンダのぬいぐるみも
バーバリーのマフラーも
思い出になる物は
全て棚の中にしまった
一人で望月を想うのも寂しくて
思い出に浸るのも辛かったから
渋々、しまう事にしたんだ
『なぁ!今ヒマか!?』
「えっ…あ、まぁ…」
山田のハイテンションに
まだついていけてない俺
『―じゃ今から初詣に行こうぜ!』
多分天気は曇りだったと思う
空は厚い雲に覆われて
初日の出は見られなかったってテレビが放送してたから
「遼太ー!」
地元の駅前に待ち合わせしていると
山田の声が聞こえてきた
辺りにはたくさんの人間がいて
どこにいるか全くわからない